皆さんは、「針」と言ったら何を思い浮かべますか?
「縫い針」、「待ち針」、「留め針」、「釣り針」、「注射針」などでしょうか?
本日は、その中でも嫌いな人が多い、「注射針」の話をします。
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■ 注射
注射とは、ご存知のとおり薬の投与方法の一つで、針を体内に刺して、薬液を注入する事です。
注射には、「筋肉注射」、「皮下注射」、「皮内注射」、「静脈注射」、「関節注射」などの種類があります。
薬液を注入する部位によって呼び方が違うだけでなく、注射部位により薬液が体内に吸収される時間が異なります。
筋肉、皮下、皮内注射の場合は、注入された薬液は各組織内に拡散して毛細血管へ移行し、毛細血管から静脈へと移行します。
静脈注射は直接血管内へ薬液を注入します。その為、薬の効果が現れる時間が最も早いのは静脈注射となり、次いで筋肉、皮下、皮内の順です。
関節注射も、問題部位に直接薬を投与するので、薬の効果が現れる時間が早い部類の注射と言えます。
■ 穿刺
穿刺とは、血管や筋肉、関節腔、腹腔、胸腔、骨髄などに針を刺すことを言います。
主として治療や検査、症状緩和などのために実施されます。
治療の場合、薬液の注入だけでなく、脳圧の減圧、関節液を抜く、膿を出すなどの処置が行われます。検査においては、血液、関節液、髄液、漏出液などの検体を採取する時に実施されます。症状の緩和では、腹水や胸水、関節水、髄液などが体内に多く留まったときに穿刺して体外へ排出します。
■ 注射針と穿刺針の種類
「注射針」は、主に皮下や筋肉、静脈内に使用される注射針です。「採血用針」は、主に採血を行う時に使用されます。
針は、「注射針」を使用するケースが多いです。通常は、末梢静脈から採血します。血糖値や血算などを調べるために、指先や耳たぶに専用の細い針を刺して、微量採血を行う方法もあります。
「輸液セット(点滴セット)」は、エアー針、ビン針、点滴筒、クランプ、チューブなどがセットされています。
「輸血セット」は、輸血時に使用される針、チューブ、点滴筒、クランプ、フィルターなどがセットされています。
「翼付針」は、針に翼が付いている針です。点滴、静脈注射などに使用されます。
「末梢血管用留置針」は、持続点滴などの長時間輸液が必要な時に使用される針です。内筒と外筒の二重構造になっています。内筒が針で外筒はカテーテルです。
「血液透析用留置針」は、血液透析の時に使われる血管留置針です。
■ 注射針のサイズ
注射針の太さは、「ゲージ(G)」という単位で表します。
18G=外径1.250mm、22G=外径0.714mm、26G=外径0.455mmとなり、ゲージの値が大きいほど注射針は細いということになります。
医療機関などで主に使用される注射針の太さは、16G(外径1.6mm)~27G(外径0.4mm)です。検査用の採血に用いるのは概ね21~22G程度、輸血投与用の注射針は18~20G程度、筋肉注射用は21~23Gを使用します。インフルエンザワクチンなどの皮下注射は26G程度の細い針を使用します。
歯科医で麻酔する時の太さは、主に27G~33G程度で、インシュリン注射には、最近では31G~33Gを使用します。医療機関で注射針の選択を間違えないように、針元(ハブ)の樹脂部分やパッケージは国際規格で色分けされています。18Gはピンク、20Gは黄色、22Gは黒といった風に色が割り当てられています。
■ 注射針の針先
注射針には針先の角度が大きく2種類あります。
RBとはレギュラーベベルの略で、針先の角度は概ね12度です。皮下、筋肉注射には、疼痛が少なく穿刺がスムーズなRBが使われます。
SBとはショートベベルの略で、針先の角度は概ね18度です。動脈、静脈穿刺には、血管を突き破るリスクが少ない針先が鈍角なSBが使われます。
角度以外にも、刃先の形状もいろいろ種類があり、より穿刺がスムーズになる様な形状、穿刺した後も真っすぐ体内に入りやすい形状など、多様な種類の針が使用されています。
■ 注射針の長さ
注射針の種類には太さ、針先の角度ともう一つ、針の長さがあります。
針の長さはインチで表します。1インチは25.4mmです。点滴ボトルなどへの薬剤混入などに使用される18G注射針で一般的な長さは、1 1/2インチ(38mm)です。採血に使用する22Gの注射針では1 1/4インチ(32mm)~1 1/2インチ(38mm)が一般的ですが、使用する部位やメーカーによってもいろいろな長さがあります。
■ 痛くない注射
さて、ここまで難しい話をしてきましたが、皆さんも出来れば注射などはしたくないとお思いでしょう。
やむを得ず注射を受ける場合でも、痛くない注射をお望みかと思います。
注射針でいうと、太い針よりは細い針、針先も鈍角より鋭角で形状も抵抗が少ない形状の方が痛くありません。
また、注射する体の部位でも、痛覚神経が少ない上腕部、腹部、臀部、大腿部などが通常注射する場所として選ばれています。
■ 富士精工
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