はじめに
シリコーンゴムは、当初、熱抵抗特徴のあるエラストマーとして天然ゴムや合成ゴムの代わりに開発されました。シリコンの原料は二酸化ケイ素(SiO2)、つまり石英などの鉱物や砂などで、どこにでも沢山あります。
自然災害による供給不足に影響される天然ゴムや市場動向で変動する石油価格に影響される合成ゴムの原材料と違い、シリコーンゴムの原材料供給はその豊富さにより安定しています。
価格と供給不足の大幅な変動の懸念が少ないことは、シリコーンゴムが製造原料として優れている理由のうちの1つです。
シリコーンゴムの特性
開発当初、シリコーンゴムはしばしば軍用及び航空宇宙産業用材料として選ばれていました。これは下記の幾つかの特性のためです。
1. 耐熱温度範囲 : -120~350℃ (華氏 -184~662)
2. 耐環境性 : オゾン、UV、熱、その他劣化につながる厳しい環境に耐えることができる
3. 不活性、安定、非毒性
4. 多種類の硬度計の計測に適応
5. 高弾力性と弾力性 低圧縮永久歪
6. 誘電体 : 1015Ω*cm 電気絶縁体
軍用と航空宇宙産業にシリコーンゴムの使用が制限されていた理由は、新素材の高い初期コストのためでした。シリコーンゴムの特性を使うメリットは年月を経ていく中で、技術者がより多くの応用方法を見つけることを可能にし、その需要増により価格も下がっていったのです。今日、シリコーンゴムは自動車、電子機器、食品加工、包装、医学、電力、LED、太陽エネルギーなど、毎日私達が見る様々な製品に使用されています。
自動車用ガスケット、シール、Oリング、点火ワイヤー、スパークプラグケーブル
電力業界用高電圧ケーブル端子、真空複合管、回路遮断器他
食品関係用台所用具、乳幼児製品
医療用カテーテルチューブ、貯蔵器
ローラー関係
レジャー用品
繊維関係コーティングと合成皮革
LED製品LED密封、高屈折率SMD封止用接着剤、ポッティング接着剤等
太陽エネルギー太陽エネルギーパネル、レンズ
しかし、シリコーンゴム材料にも短所はあります。引張強度は天然ゴムよりも低い為、負荷や物理的な磨滅・研磨には強くありません。また、高濃度の酸性とアルカリ性には弱く、PH値5~9が適当な環境として必要です。
固形シリコーンゴム(ミラブル) VS 液状シリコーンゴム (LSR)
シリコーンゴムには固形と液状の二種類があります。固形のシリコーンゴムは、しばしば「ミラブル」又は「高濃度」ゴムと呼ばれています。それに対し液状シリコーンは “LSR”(液状シリコーンゴム)、“LIM” (液状射出成形材)と呼ばれています。液状シリコーンに比べ固形シリコーンは工業用として長い歴史がありますが、その理由は材料価格が安く、その使用方法が以前からある天然ゴムや合成ゴムに似ていた為です。しかし、固体シリコーンゴムに比べて液状の利点(以下で紹介します)は多いため、LSRの需要は急激に増加しています。
液状シリコーンゴム (LSR)
LSRの研究開発は、ダウコーニング、GE、ワッカー、信越などの企業を中心に1980年代に始まり、1985年には工業市場で入手可能となりました。しかし、多くの産業でLSRが採用され、需要が急速に増加するのは1990年以降です。
現在の世界の年間消費量は90,000から100,000トンに達し、今後5〜10年の間にLSRの世界的な需要は年率8%、年間15万トン以上の成長が見込まれています。アジアでの増加比率(例えば中国10~15%)は西欧より高い(例えばアメリカ,EU)と予測されています。
液状シリコーンゴムは固形タイプに比べ幅広い製造工程に対応できるというメリットもあります。固形タイプの製造工程はしばしば圧縮成形または押出に限定されますが、LSRは射出成形、注入、冷却、噴霧、押出しおよびカレンダー加工に適しており、この柔軟性によりユーザーはニーズに合った最も実現可能な製造方法を選択する事ができます。
例えば大量生産の場合、LSRはプラスチックのように射出成形することができ、圧縮成形に比べて以下の利点があります。
- 短いサイクルタイム
LSRの射出成形の工程時間は数秒程度で済みますが、圧縮成形は数分必要です。 - 人的作業の削減
射出成形工程を自動化することにより人手が削減できます。圧縮成形では、作業者が最初に金型内に材料を入れ、工程終了時に金型から製品を取り除く必要があります。 - 材料使用量の削減
コールドランナーシステムでLSRは射出成形できるため廃棄材料が少なくなります。精密な金型設計によりバリが低減、または無くせれば、材料の消費量およびそれらを除去する手作業等のコストがさらに低減されます。 - エネルギー消費の削減
低温でLSRを成形して硬化させることができ、電気等の消費量を削減できます。 - 取扱い材料の削減
固体シリコーンゴムは、成形する前に顔料と添加剤を混合する必要があります。 一方、LSRは直ぐに使用できるペールまたはドラム缶に入っており、ユーザーでの材料の追加処理が不要です。また、手作業による混合でのロット毎の原料のばらつきが減少し、一貫した品質の製品が得られます。
かつて固体と液状のシリコーンゴムの価格差は材料選択の決定に影響を及ぼすほど大きいものでしたが、LSRの製造業者が市場の需要を満たすために生産能力を増やすにつれて、LSRの価格はスケールメリットから長年にわたり低下し、両者の差はLSRを使用する利点が価格差を上回る点まで小さくなりました。これは、今後LSRの世界需要が健全なペースで成長し続ける理由となっています。
中国での液状シリコーンゴムパートナー
過去数年間、弊社は海外市場を開拓するために中国の信頼できるLSR製造メーカーと協力してきました。高分子重合化学の学位を持つ社長が21世紀の変わり目に設立した、白金硬化、二成分LSR製造の先駆者的会社です。
そのLSRを合成する技術は自社独自のもので非常にユニークです。彼らは研究開発に注力することで、年間生産量で世界トップ5のLSR生産社のひとつになるよう推進してきました。
深センに本社を置き、中国南部に生産拠点で国内(売上高の60%)及び海外(売上高の40%)の需要に対応しています。現在の年間生産能力は4,000トンを超えていますが、2017年中頃に東中国の生産拠点を増設することにより8,000トン以上に倍増する予定です。
彼らの大きな特徴のひとつはR&Dに注力していることですが、その為に1,500平方メートル(16,000平方フィート以上)のR&Dセンターを作り、その研究所設備に1,000万元(約1.5百万米ドル)以上を投資しています。
R&Dチームは20人以上のメンバーで構成されており、その殆どが学士、修士または博士号取得者であり、全従業員の10%以上を占めています。
化合物研究室、処理工程研究室、光電テスト研究室、機械テスト研究室、クロマトグラムと熱特性解析研究室、新エネルギー研究室、サンプリングやパイロットテストのワークショップ等、さまざまな部門がR&Dセンターを構成し、このR&Dセンターは、多くの有名大学や企業と提携し、LSRのエンジニアリングセンターとしての深セン市と広東省の認定を受け、国の研究プロジェクトの実験拠点にもなっています。
R&Dセンター | HAAKEレオメーター |
ガスクロマトグラフィ質量分析計 | |
LED分光学分析システム | フーリエ変換赤外分光光度計 |
耐トラッキング性試験装置 | 熱伝導率測定装置 |
ゲル浸透クロマトグラフィー | 熱重量分析計 |
R&D分野での強みを活かし600種類以上のLSR製剤を開発、幅広い選択肢を提供し様々な製品アプリケーションに対応しています。また、既に認可されている及び審査中のLSR関連プロセス特許22件を保有しています。
熱衝撃試験室 | 水平-垂直火炎試験室 |
工場はISO9001 2008、ISO14001 2004およびOHSAS18001 2007認証を取得しています。またERP/CRMシステムでの顧客業務管理、厳格な品質管理と品質検査により、安定して優れた製品の提供が行われています。
世界最大のLSR生産社の1つですが、お客様からのカスタマイズされた処方にも喜んで対応しており、開発の最低必要条件は他社に比べても軽微になっています。柔軟性を持って、数百トンではなく、数百キロ程度の少量注文、開発についても喜んで対応いたします。
ダイナオックス株式会社からのご提案
弊社は国際貿易で30年以上の経験を有し、コミュニケーション、プロジェクト管理、その他様々なサポートを提供してまいりました。協力会社の皆様ととともに常に革新、改善、長期的なパートナーシップを目指しています。
液状シリコーンゴムでの価格、品質、仕様等で問題解決をお探しの皆様、ぜひ一度お問い合わせください。